2015/11/25 16:26

●世界で最も保温性が高い天然繊維


カシミヤは世界の天然素材の中で、最も軽量かつ保温性に富んだ素材です。
その上非常に柔らかいところが、さらにカシミヤの価値を高めています。

カシミヤの名前は、インドとパキスタンの山岳地帯である
「カシミール地方」に由来しています。
カシミール地方でカシミヤ繊維が紡がれ、カシミヤ製衣類が織られはじめました。

そもそもカシミヤ山羊は、標高のある高原地帯に生息しており、
極寒の冬の寒さから身を守るために保温性の非常に高い毛に覆われています。
カシミヤ原料は、そのカシミヤ山羊の薄い内側の毛を採取して作られます。

カシミヤ繊維の太さは、直径14~19ミクロン(1ミリの1,000分の1)と非常に細く、
人間の髪の毛の50ミクロンと比べると、その細さがおわかりいただけると思います。

この繊維の細さがカシミヤの柔らかさの源となるのですが、くわえてその原毛の
長さも高品質の衣類を織るうえで極めて重要な要素になってきます。

内モンゴル・オルドス地方のカシミヤ繊維は、世界で最も細く最も長いことから、
世界最高のカシミヤと評価されているのです。



●カシミヤの希少性


世界最高の天然繊維、内モンゴル・オルドス地方産のカシミヤ繊維ですが、
1頭のカシミヤ山羊から採取できる原毛は、1年間の平均でわずか80グラム。

一般的な女性用セーター1枚を作るためには、カシミヤ山羊4頭分、あるいは
1頭のカシミヤ山羊の4年分の原毛が必要になります。

カシミヤ繊維が最初に生産された頃、カシミヤ製衣類は大変希少であったため、
購入可能な層は少なく王侯貴族に限られていました。
そのため、カシミヤは「繊維の王様」と言われるほどでした。


●カシミヤ原料の産出に必要なカシミヤ山羊の供給増加は非常に困難


カシミヤ原料を作り出すカシミヤ山羊の育成に適した土地は、
①標高が高く寒冷な気候
②土壌に恵まれていない
、という条件が必要になります。

この観点からみて、内モンゴル以外の地域に上記の条件を満たす地方を
見出すことは、非常に困難です。

カシミヤ山羊の群れを増やすことでいえば、土地が広ければ確かに
頭数増加につながりはしますが、高品質なカシミヤ原料が取れるとは限りません。

このため、高品質なカシミヤの生産は、内モンゴル産にかなり限定されているのです。